悲劇のマンションオーナー

内断熱マンションによる損失は何と二○○兆円

一九九七年、当時ベターリビングの住宅部PLセンター長だった故岡屋武幸氏が、住宅部品の耐用年数についての提言をした。その際、先進五カ国の住宅のサイクル年数を紹介し、建築業界人の注目を集めた。日本の建築物が短命で、ョ-ロッパのものは長命だと知ってはいたものの、あまりの違いに愕然としたのである。この住宅サイクル年数の出し方は、ストック戸数をフロー戸数で除して求めるもので、このデータからも、いかに日本がスクラップ.アンド・ビルドを繰り返し、フロー経済成長を追い求めてきたかが一目瞭然であろう。これまで建てられた一○○○万戸にのぼるコンクリート住宅が、本来一○○年で償却するものをわずか三○年でほとんど価値がなくなるとすると、築三○年では一戸当たりおよそ二○○○万円の価値損失となる。全体では総額二○○兆円の価値損失だ。この数字は試算ではあるが、あながち間違いではない。なぜなら、実際にこれらの九九%以上が無断熱か内断熱の短命マンションだからだ。住宅の大量供給だけを優先させて、長寿命型マンションという視点で考えてこなかったツケではないか。さらに、76さらに、今後は、マンションの建て替えに関する問題が深刻化するだろう。建て替えるためには、まずそこに住む人々の意思と費用が壁となる。一九九九年の大阪(千里)の建て替え訴訟をみても大変なことが実感できる(区分所有法により、少数派五名の建て替え反対住民が敗訴)。

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