悲劇のマンションオーナー

コンクリートとの共存

鉄筋コンクリートでは、コンクリートと鉄筋が相互補完しあっているが、そこに内断熱を施した場合、理論上の耐久性は持ちえるのだろうか。鉄は空気に触れていると空気中の酸素と反応してさびてしまう。その点、コンクリートに包まれている鉄筋は空気に触れないためさびない。しかし、鉄筋を包んでいるコンクリートにひび割れができた場合、中の鉄筋は水と空気に触れることになり、結果的にさびてしまうことになる。硬化したコンクリートにひび割れを生じるのは体積が変化するからである。この体積変化の原因の一つには、コンクリートが乾燥するにつれて収縮する乾燥収縮と、もう一つ、コンクリート内部の温度差によって体積が変化する「熱応力ひずみ」(「温度差ひび割れ」)と呼ばれるものがある。さらに温度差ひび割れには、外部拘束によるものと内部拘束によるものとがあるが、どちらもコンクリート内部に生じた引張力がコンクリートの引張強度を超えると、ひび割れが発生する。こうしたひび割れをなくすためには、コンクリート内部の温度差を最小限に抑えなくてはならない。内断熱マンションのコンクリート強度を数多く測定してきた建築家の宮本尚彦氏は、「築二○年を経た多くのコンクリートマンションの強度は半分以下になっている。これを防ぐには、外断熱しかありえない」と語っている。

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